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2012/01/26

第一期~第六期「薔薇刑」まで連続企画 細江英公写真展

Eikoh Hosoe Photo Exhibition
細江英公写真展

2012年1月6日(金)―5月13日(日)
BLD GALLERY

Eikohhosoe

細江英公は1933年生まれ。17歳の時に富士フィルム主催の「富士フォトコンテスト学生の部」で最高賞を受賞し、写真家を志します。52年東京写真短期大学(現東京工芸大学)入学後は、既存の美術制度のあり方を否定したデモクラート美術家協会を主催する瑛九と交流を深めるなどしながら、独自の芸術観を確立。大学卒業後はフリーの写真家として活動し、56年には早くも初の個展「東京のアメリカ娘」を開催します。59年には川田喜久治、佐藤明、丹野章、東松照明、奈良原一高らとともに写真家のセルフ・エージェンシー“VIVO”を立ち上げ、「リアリズム写真運動」が主流な時代に、より私的で芸術的な表現活動を展開し日本の写真界を牽引。60年には、個展「おとこと女」により日本写真批評家協会新人賞を受賞。その後も三島由紀夫を被写体として耽美的な世界を表現した《薔薇刑》や、秋田の農村を舞台に舞踊家の土方巽をモデルに撮影した《鎌鼬》など、数々の名作を残しています。また作家活動のかたわら、写真学校で教鞭をとり、海外でワークショップを開催するなど写真文化の普及・発展にも寄与し、70年芸術選奨文部大臣賞受賞、98年紫綬褒章授受、07年旭日小授章受章、08年毎日芸術賞受賞など、数々の賞を受賞しています。
戦後日本の写真界を牽引し、新たなる挑戦を常に繰り広げてきた細江英公。時代を切り開いていった数々の名作を、是非この機会にご覧下さい。

第一期 「鎌鼬」 1月6日(金) - 1月29日(日)
"鎌鼬"とは小さいつむじ風によって突然皮膚が裂け鋭利な鎌で切ったような傷ができる現象のことを指し、日本の甲信越地方には両腕に鋭い鎌を持ったイタチに似た妖怪として多く伝えられています。1965年、舞踏家・土方巽の故郷秋田へ向かった細江と土方。故郷のことを常に想い、自らの原型を見出そうとしていた土方。そんな土方に細江は鎌鼬のイメージを重ね、また戦時下に山形へ疎開した細江自身の記憶と民話的な世界とを織り交ぜたシリーズ《鎌鼬》は、被写体との関係性から紡ぎ出された物語性の強い作品です。全てヴィンテージプリントにて展示します。

第二期 「シモン 私風景」 2月1日(水) - 2月26日(日)
戦後の東京の「記憶の記録」を意図して70年に撮影された《シモン 私風景》。記憶を生んだ東京の風景を背景に四谷シモンが異化作用として登場することで、その土地の根源的な記憶を表現する試みであり、同時に細江自身の東京という土地に……

対する「記憶の記録」、つまり細江自身の私風景でもあります。

第三期 「おとこと女+抱擁+ルナ・ロッサ」 2月29日(水) - 3月18日(日)
細江の数あるシリーズの中より、ヌード表現をテーマとした3シリーズを展示します。
1959年、三島由紀夫作品の題名を借用した土方巽の舞台「禁色」を見て以来、土方の踊りに魅せられた細江は、すぐさま土方や男性舞踊家、ファッションモデルの石田正子とVIVOのスタジオや暗室にて実験的とも言える撮影とプリントを制作。その撮影は半年間にも及び、シリーズ《おとこと女》として発表されました。このシリーズによって細江は60年第4回日本写真批評家賞を受賞。翌年には作品集が出版されました。
《おとこと女》を発表してから約10年後、肉体の持つそれ自体の美しさや強さを求め、身体の断片を切り取るように撮ることによって根源的な肉体の普遍性を表現した《抱擁》。ディティールにこだわり、フレーミングによって断片化され、極限までそぎ落とされた身体は、崇高さを秘め、官能的ですらあります。
90年代に入り、海外でのワークショップを精力的に展開していた細江は、アラスカでのワークショップでアメリカインディアンの聖地を選び、そこで撮影した作品を帰国後ソラリゼーションやフォトグラムという技法により再構築します。核実験や環境破壊、地球温暖化など環境問題が取り上げられるようになった時代背景のもと、広島や長崎の原爆体験と重ね合わせ、白黒反転することにより社会的な問題を自身の方法で表現した作品が妖精物語《ルナ・ロッサ》です。そこには祈りのような細江の未来への希望が感じられます。


第四期 「大野一雄+ロダン」 3月21日(水) - 4月8日(日)
土方巽を撮ったシリーズ《鎌鼬》と双璧をなすと言っても過言ではない、大野一雄を撮影したシリーズ《胡蝶の夢》。1959年、土方を通じて大野一雄と出会った細江は、それから約50年もの間、大野の肉体と魂を撮り続けました。このシリーズは大野が100歳になった2006年に作品集『胡蝶の夢-細江英公人間写真集舞踏家・大野一雄』としてまとめられ、大野一雄に捧げられました。大野との撮影は「大野一雄の舞踏作りに参加しているつもりでいる」と細江が言うように、本作は二人の共同作業によって出来上がったものです。細江の根源的なテーマである「人間の肉体と精神、生と死」を、大野の肉体を通して掘り下げた作品は、大野の圧倒的な存在と細江の本質を見極めようとする鋭い眼差しが交差し、唯一無二なコラボレーション作品となっています。

《ロダン》シリーズはパリのロダン美術館にて撮影されたもので、ロダンの彫刻作品を見ているうちに、細江は芸術家ロダン自身と対話をしているような気分になったと言います。その時の感覚を持ちあわせていたコンパクト・カメラによって、一気に封じ込めた作品群は、ロダンの彫刻作品を撮影しながらも、芸術家ロダンのポートレイトとなっています。

第五期 「知人たちの肖像」 4月11日(水) - 4月22日(日)
細江の知人や友人などを撮影したポートレイト・シリーズ。作家・批評家でありフランス文学者である澁澤龍彦をはじめ、小説家の稲垣足穂、画家の靉嘔、詩人の高橋睦郎など、時代の先端を行く人々との交流から生まれた作品は、細江が敬愛する作家や芸術家たちの持つ世界観を細江なりに捉えようと試みたシリーズです。思想的背景を重ねガウディのサクラダファミリアを投影し撮影した澁澤龍彦や、作家のアトリエにて撮影した靉嘔や合田佐和子、執筆中の稲垣足穂など、被写体とそれを取り巻く環境(世界)を写し出そうとする試みは、エンバイロメンタル・ポートレイトとも言えるでしょう。


第六期 「薔薇刑」4月25日(水) - 5月13日(日)
細江の作品の中でも代表作とされるシリーズ《薔薇刑》。発端は三島由紀夫が自身の評論集『美の襲撃』の表紙と口絵のために細江に撮影を依頼したことからはじまり、その1ヶ月後に今度は細江が三島に後に《薔薇刑》となるシリーズの撮影を依頼。撮影は61年から62年に渡り、62年に開催された若い写真家のグループ展「NON」に未完のまま出品されました。翌年には『薔薇刑』というタイトルで作品集にまとめられ、杉浦康平デザインの画期的な作品集は世間の話題を呼びました。観念により鍛え上げられた三島の肉体を前に、「偶像破壊」と称し三島像を細江なりの解釈で捉えた《薔薇刑》。本シリーズは細江の代表作となり、作品集後に世界の代表的な写真集として「20世紀101冊の名作」にも選ばれています。本展では後年制作されたダゲレオタイプ作品1点も併せて展示します。

Eikoh Hosoe Photo Exhibition
細江英公写真展

1月6日(金)―5月13日(日)

11:00~19:00

会期中無休

入場無料

BLD GALLERY
〒104-0061 東京都中央区銀座2-4-9 SPP銀座ビル8F
TEL.03-5524-3903

www.bld-gallery.jp

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