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2008/07/07

特集:コバルト爆弾αΩインタビュー(後半)

Cahprvj3

秋葉原ライブペインティングでおなじみ
コバルト爆弾αΩのインタビューです。

インタビュー後半の模様をお送りします!
前半はコチラから!!

  
  

Sabu3
 
―― これまで“縦の歴史”に残るものっていうのは、「思想」とか「芸術」とか「知」だったんだけど、今はそれらの権威は失墜して、その代わりかつてのサブカルチャーに関心が集まってる状況があるよね。ハイカルチャーとサブカルチャーの並列化。であるなら、たとえば「ドストエフスキー」と「ファイナルファンタジー」を両方楽しめる感性って可能だと思うんだけど、現実、そういう感性が育ってないように思う。ある領域から違う領域へプレゼンするのってすごく難しい。

α でもそうなんだよね。ジャンルに閉じこもって欲しくないなって思いますね。

ρ さっき餅つきの話をしましたけど、ウチでは年末の3日間、家族はもちろん従兄弟、その家族や友人、あるいは僕らの友達まで呼んで一緒に仕事するんですよ。その時のBGMでいろんな曲を流して、古いところだとピンクレディーやキャンディーズとか。今だとwikiとかで簡単に調べられるから、若い連中もピンクレディーの話題で盛り上がったりするんです。音楽で世代を超えたコミュニケーションができるんですよね。ネットが出てきてそういうことが可能になった。

Ω 情報の時系列が関係なくなって、あらゆる情報が等価値になってきている。

κ 俺も実家帰ったときに、親が流してた山下達郎とか小田和正とかが良くて。そういうのって親の影響とかで好きになるよね。

ρ そういうのが、もっと濃密に共有出来るようになってくると思う。

κ 『悲しみよこんにちは』を聴いたら、一回聴いただけでいい曲だって思った。斉藤由貴。

―― 音楽がコミュニケーションの媒介であるのはたしかだし、ネット環境の整備によって情報へのアクセシビリティが飛躍的に向上したのも事実だと思う。ただ、同時に音楽を聴くってとてもパーソナルな体験じゃない。いま、ここで、ある音楽に涙してしまうっていう経験は誰とも分かち合えないと思う。だからこそ、バラバラな個人が同じ場を共有するってすごく大切でさ。クラブのIDチェックが厳しくなって、みんなで音楽を楽しむ場所が、FUJI ROCKみたいな、何万円もかけて行くようなイベントに限定されていってたりするから。たとえば「セカンド・サマー・オブ・ラブ」の時に、ステージと観客っていう関係ではなく、無名のDJがゴミみたいなアシッドハウスをかけて、みんなで同じ地平から楽しむための場所を切りひらいたってとこ、あるいは、“売り手とお客さん”ではなく、あの場にいる全ての人が、マイノリティの祭りを創り上げる“参加者”であるっていうコミケの考え方、そういう、皆で恊働する遊び場に連なる文脈で、あの秋葉原の路上レイブは素晴らしいんだよね。

ρ 秋葉原でアニソンを流すって誰が聴いても納得するしね。FUJI ROCKとかってみんなで車で出かけていって、たくさんお金払わないといけないし、そういう意味では秋葉原でやれば、ふらっと立ち寄れるし、すごく気軽に聴けるから、そういう意味でもここで出来るっていいなって思う。

――たださ、あの風景を写真に撮る人はたくさんいても、あの場に飛び込んで踊る人ってやっぱり少ないじゃない。“踊る”ってある意味すごく恥ずかしい体験だと思うんだよね。その“恥ずかしさ”を突破して人を盛り上げるような、そこに秘策とかない(笑)?

Img_1639α そういう意味では、ピエール瀧とかすごいと思いますね(笑)。DENPAとかだと遠藤一郎さんがやってくれるんですよ。秋葉原だと物珍しさが勝っちゃって写真撮りたがる人の方が多い。

――そうだね。例えば秋葉原って、電子部品を探しにとか、握手会の整理券をもらいに行くとか、何かしらの“目的”があって向かう場所だと思うんだけど、そうじゃなくて、ふと立ち止まって気まぐれに脇道に入っていくような、“目的”にプログラミングされた身体ではない、別の身体を見つけて欲しいなって常々思っていて。だからびしばし踊らせて欲しいな。お金使わなくても楽しいことはたくさんあるんだから。

α 秋葉原っていうのがそもそも、自分に無い外部性を求めてみんなやってくる街じゃない? 俺らも最近amazonにはまっていて、常に外部のものを取り入れたくて、今amazonのお薦めフィルタを鍛えていくっていうのをやってる。

Ω 欲しいものリストにいろいろ入れていって、お薦め商品リストが本当に気に入りそうなものを薦めてくれるかどうか。二人でパソコンを並べてやってるんだけど……

α もう1000商品くらいにまでなるんだけど、2、3個くらいしか興味がわくのがないんですよ。だから街に行くのがいいですね。ネットの機械的な処理じゃ無理かな。

κ アキバとかなら、歩いているとこれ欲しいっていう製品があったりする。

α そういう意味では、アキバにとって、コバルトがやってるのが外部要素なんだよね。
だから特定のジャンルに閉じこもるのをやめて、なんとか外を向いてもらって、その中で僕らは僕らのこだわりで色々提示するから、適当に好きなの選んでよっていう。ひとつのフィルターとして存在しているっていう。
  
  

Sabu5

――90年代ってオタクとサブカルって犬猿の仲とされてたんだけど、コバルト見てるとそういう不毛な対立は、とっくに乗り越えてるね。佐藤大っていうか『エウレカ』なんかはどう見てた?

Ω あとアニメの話だと、いわゆる“セカイ系”ってのがあまり好きじゃないんです。自分‐セカイが直結した世界観というのは非常に乱暴な気がしていて、個人的にVJ活動を通じてそれに対抗しようという意識があります。僕はいわゆるVJが使わなさそうな映像をあえて選んで使うのですが、それはどんな映像でも、関係性の中で面白くできると思うからです。全く関係のない映像から、なにかしらの共通点を見つけて、文脈をつないでいく。そうすることで“セカイ系”では現れない、豊かな遠近感を構築したいのです。

―― たしかに、“セカイ系”って、現実に生きている僕らが少しでも“世界”と関わろうと思ったら、“わたし”と“世界”の間にある中間領域、言語-共同体-政治、そういうものを構築していかなきゃならないのに、そういう現実と拮抗しえてないよね。

ρ 僕は岡崎京子の「平坦な戦場を生き抜くために」っていうフレーズがすごく好きで。東浩紀が言うには、それを吹っ飛ばすために、オウムだったり、そういう祭りの方に行っちゃう。でもそうじゃなくて、金八も言ってるけど(笑)、退屈でくだらない現実に目を向けて、いかにそれを楽しむか、それを戦場と見立てていかに戦っていくか……そういう作品が好きで。なんていうか、戦場を楽しむっていうのはおかしいかもしれないけど、きっとどこでも楽しめるんじゃないかって思ってて。

α どこでも楽しめるかも知れないけど、やっぱり日常ってつまらないから、クラブとか行くのも日常から非日常になって、その一週間とか一か月を生きていくための楽しみになるわけだから。

κ ハレとケというか。

ρ ケがあることしか意識できないっていうのは破滅を導くとは思うけど。ハレがないとケに生きている自分が見えないよね。

α そういう意味で、ダンスミュージックは大事かなって。

ρ 本当に祭り。それは日常から切り離されたところにあるんじゃなくて、日常から地続きとして捉えるべきなんだよね。Img_1678_3

―― ρが言ったように、岡崎京子が『リバーズ・エッジ』で「平坦な戦場」って引用してきて、椹木野依がまさに『平坦な戦場で僕らが生き延びること』っていう本を出してるけど、あん時言われてたのは、90年代以降って、その祝祭空間-非日常性-ハレの場ですら、資本が提供する“娯楽”として反復する日常の中に組み込まれてしまって、僕らはそれを“消費”することしかできなくなってしまったってことだったよね。宮台真司は「終わらない日常」って言ってた。クラブカルチャーってすごい刹那的じゃない? 一晩躍り狂って、楽しんで、朝の光を浴びて呆然と歩いて家に帰るときの……

α 朝チュンですよね(笑)。

――そういう、クラブカルチャーの退廃的な部分であったり刹那的な部分をコバルトは突破してるよね。

α まあポジティブですよね。

θ 今朝もすっげー楽しそうに歩いてましたからね。そこまで音楽聴きながらテンション高く歩いてた……

α まあ路上でやるっていうのは意識していて、昔ラブパレードとかでかかっていたようなジャーマントランスとかも、積極的にかけたりしますね。出来るだけポジティブに、明日ブルーマンデーなんで出来るだけポジティブに帰ってもらうっていう。がんばれよ的な曲をかける。

―― でも『ブルーマンデー』はね、落ちるよ(笑)。

α まあ一応現実も見ておけっていう(笑)。

ρ サザエさんのエンディングみたいにね(笑)。

Ω そうですね……日常……なんかいきなり世界とかの話をしないで、とりあえず今すぐここで楽しめるじゃんっていうところでやる方がいいと思うんだよね。

ρ 真心ブラザーズが、今ここで楽しめない奴は、宇宙まで行っても楽しめないって言ってて、それが本当に響いていて。それはそうだよって。日常を楽しめない奴は、いい地をいくら求めても楽しいことが出来ないと思う。

 
 

Sabu4

――今の、この時代を“変革”してやろうっていう気持ちはない? 僕はコバルトに“変化への意志”をすごく感じるんだけど。

Ω 僕はないですね。変わっていくのを見たいっていうのはあるけど。最終的には傍観者でいたい。

α 本人はやってるつもりはなくても、変えてる気がする。それぞれのありものの映像を繋いでるだけだとしても、繋いでる時点である意味変えてると思うんだよね。

Ω 効率っていうのを考えていて……もうすこしこうしたほうがいいだろうっていう、元々あるものなんだけど、ちょっとだけ余分に勢いというか、力を加えたいっていうか。

θ 発見する人と広める人っていうのがいると思うんですけど、発見する人が例えばΩだと思うんですけど……意識せざる変革なんじゃないですか(笑)。

――他のみんなは?

α 俺は外部性を取り入れたいっていうところでやってますかね。

Ω αはでも、変革っていうか世界をどうにかしようっていうのはあると思う。僕の場合、興味があるものの時間軸がすごい長いスパンなので、「今、どうこうしたい」っていうのがないんですね。

α でも今何かしないと、なんにも起こんないっていう気がするんだよね。そういう意味で、“面白い人”を広げていきたい。

Ω でも他の誰かが出来ることだったら、その人に任せればいいっていうのはあるよね。

Img_1991 α それは絶対あるね。だからこんなにメンバーが増えてる(笑)。任せるっていうか、自分がやるより他の人がやった方が面白い。

κ それをスッパリ決断出来るのはいいことだと思う。普通自分で全部やりたくなっちゃうし。

Ω 自分だったら5出来ることで、他の人だったら7とか8出来ることがあったとして、それをこのメンバーでやると7に、数字じゃないオマケがついて返ってきたりするんだよね。それがすごく面白い。

α それがやっぱり外部性だと思う。自分にないものを取り入れるっていう。

β 私なんでも興味持つんですけど、クラブ行くとか、テクノを聴くとかいうのはあまりなくて、懐メロはよく聴くんですけど……私みたいなタイプでも、テクノいいなとか思えるきっかけになれたのは良かったと思う。見てる人にも、コバルトがそういうきっかけになればいいなって思う。

―― いい“チーム”だね。僕の感覚でものを言うけど、今って“仲間になる”のがすごく難しい時代だと思う。例えばSNSで、同じ趣味嗜好の人々が集まった時に、それがどうやってこういう面白い集団になっていくかっていうのはすごく未知数だよね。仲間になるっていうことは、そういう閉じたコミュニティを突破しないと出来ないことだと思うから。

α 個人で固まって、オタクになって、同じ興味を持った仲間でなんかやるのってあんまり意味がない気がして。検索してくれば出てくる情報だと思うし。オタクな情報が。知識がベースになっている社会で、もう知識なんてGoogleで全部手に入るから後はマッシュアップするしかない、っていう時に、そうすると自分に無い外部のものを取り入れて構成するっていうのが、生き延びるっていうか、楽しく生きるためには一番いいから。

θ 多分そういう括りで、αとΩが自由に人を集めてっていうところが、一番成功してるところだと思う。

ρ 多分この二人は全然違うタイプだと思う。僕は兄(Ω)を全然信用してないけど、αは信用してるから(笑)。でもよくやってるなって思う。

Ω 俺とαで違うけど、ある点で共感することができれば、一緒に何かできる。お互いに信用していれば、相手の守備範囲をそのまま利用することができるじゃないですか。俺がやられてもαが生き残れば、チームとしては生き残れますよ。そうして守備範囲をどんどん広げていきたい。

α 本当愛し合ってますからね。一緒のベッドで寝たりしますもん(笑)。ゲイじゃないですけど。


2008年6月7日 秋葉原・ルノアールにて


※写真は全て秋葉原ライブペインティングでの様子

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コバルト爆弾αΩプロフィール

2006年、αとΩによって結成。Ableton Live主体のイベント「Liveholic Party」を皮切りに数々のイベントに出演。

2007年 Δ、ρ、κ、θ、οの加入によりDVJ体制が整い、クラブ、大学、路上の爆撃を開始。最新のダンスミュージックと懐メロ、アニソンをマッシュアップする珍妙なDJスタイルが一部の方々に熱狂的に支持される。

2008年 β加入。秋葉原×青山イベント「DENPA」に出演。秋葉原ゲリラライブにも参加し、秋葉原カルチャーに対してコミットをはじめる。

MOSAプレゼンツDEMOSAにて、Wiiコントローラーを用いたスクラッチプラグインをプレゼンする。youtube上にてスクラッチAudio Unitの動画を公開し、Beatportal、Technorchブログなどで紹介される。

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7/19 DEPARETURE @浅草STELLA GEO
http://stella.ne.jp/index.html
http://stella.ne.jp/schedule/schedule.html

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