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2008/06/09

特集:石井裕也監督×柴田剛監督トークショー

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卒業制作で「世界」に出るには? 学生映画、自主映画、卒制映画・・・経済的にも技術的にもあらゆる制約がある中で、やはり国内では商業ベースの映画と切り離されて語られてしまう。しかし海外ではそうではないと、この大阪芸大出身の二人の監督は言う。なぜ国内を飛び越えて世界へ行く必要があるのか? インディペンデント映画を取り巻く環境は果たして今後変わるのか? 今回「コムコム.com」では、この非常に興味深いテーマを、石井裕也監督映画の劇場公開にあわせたトークショー、そして柴田・石井両監督へのインタビューで掘り下げます。第1回目はトークショーの模様を掲載します!

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◆ 卒業制作で世界に出る方法

2008年6月1日 池袋シネマ・ロサにて

――石井くんは、第1回「エドワード・ヤン記念」アジア新人監督大賞を受賞して、今日上映した『剥き出しにっぽん』もPFFグランプリを獲ってますよね。その他にも海外の映画祭、例えばバンクーバー映画祭とか、ロッテルダム映画祭で取り上げられて話題になりましたけど、実際世界に出てみてどうでした?Imgp4857_3

石井裕也(以下石井) ロッテルダムでは、「東京にはもう飽きた、もっと田舎の日本を見てみたい」と言われましたね。大阪芸大のある先生が言っていた言葉で印象に残っているのは、「ヨーロッパの人は、日本の若者が何を考えて、どういうライフスタイルで日常を送っているのか、非常に興味がある」というものです。それってすごくヨーロッパ的だなって思ったんですね。例えば、僕らはドイツ人の19歳の女の子が何をやってるかって、特に興味ないじゃないですか(笑)。教えてくれるって言われたら聞くし、へーそうなんだって思うけど、別にネットでドイツ人の女の子がどういう日常を送ってるかとか調べないじゃないですか……そういう意味で言うと、逆に向こうの人の方が、こちらの極東の島国の若い人の感性をすごく気にしている感じはしますね。

――もちろん、ヨーロッパでもアメリカでも、日本ブームとかあるから、注目はされてるんだけど、でも外国の人から見た日本の映画って、ただのオリエンタリズムで見られてる部分はない? 日本の映画を知ってるっていうのは、ある意味カルトだっていうところあるでしょ?

柴田剛(以下柴田) ありますね。でもそういう意味では、今は日本人の監督にとってはおいしい時期でもあると思います。

石井 大阪芸術大学の卒業制作で16mmで撮られた長編って、柴田さんのもそうだし、熊切和嘉監督の『鬼畜大宴会』だとか、山下敦弘監督の『どんてん生活』だとか、代々続いて来ているんです。

――ちなみに柴田くんは山下くんと同期なんだよね。あとは脚本家の向井康介くんとか。

柴田 あとカメラの近藤龍人とか……確かに固まってる観はあるかな。

――熊切さんが切り開いたって言われていて、その下に山下くんとか、柴田くんとかいてっていう感じだよね。

石井 やっぱり、みんな長編を16mmで撮るんですよね。卒業制作で。でもお金掛かるんで、みんなあきらめちゃうから、1年に何人かしかいないですけどね。ちなみに柴田さんは卒制の『NN-891102』はいくらで撮りました?

柴田 やっぱり400万くらい掛かったね。俺、学校では本当に問題児で、「柴田には映画撮らすな」って学内で言われたりとかしてたから、とりあえず違う名前で借りたカメラが、レンズも腐ってるようなやつで(笑)、よくフィルムに焼き付けられたなって思ったんだけど。

石井 (笑)僕も400万掛かりましたね。でもそれだけお金掛けるなら、次に繋げようって思うのが人の性じゃないですか。やっぱり、次の映画を撮るチャンスを得るためには、ある程度目立たないといけないと思っていて。そのためには、PFFのグランプリも国内では大きいけど、それで必ずしも次の映画を撮れるとは限らないじゃないですか。

――まあグランプリ獲っても、その後映画撮らない監督もいるからね。

石井 だから僕の場合は海外の映画祭で受賞するっていうのが、初めから、もう企画の段階から目標としてあったんですね。それが最短距離なんだと漠然と思っていました。

――それはすごいね。

石井 これがまさに日本だっていうのをぐいぐい押し出して行きたかったんです。当初は「剥き出し」っていうタイトルだったんですが、それだけだと何かAVっぽいし(笑)、物足りない感じがあって、「にっぽん」っていうのを敢えて付けました。英題も、“Bare-assed Japan”(尻が剥き出しの日本)っていう。そういうタイトルも評判になった一因みたいなんですけどね。

――海外では三池崇史監督と比較されるらしいね。多作でエクストリーム系だからかな。あと、石井くんの映画って、なんかにっかつロマンポルノみたいじゃない? 裸の描き方だとか、ラストシーンの、今からまさに始まるかのような終わり方も……案外古典的だよね。

石井 80年代的だって最近になってよく言われますけどね。

柴田 卒業制作で世界に出るには? っていうところに話を戻すと、まずは大金掛けて16mmで卒制を撮る。もちろん作品の良さは最低限必要なところだけど、それ以上にやっぱり目に止めてもらうためには、自分自身もキャラクタリスティックにならないといけない。それは宿命なんですよ。例えば大阪芸大の先生も、やっぱりキャラクターが強いんですよ。

――当時は学長で中島貞夫さんもいるよね。

石井 中島貞夫さんなんて、サングラスに赤いマフラーしてますからね(笑)。中島先生はすごくいいこと言ってましたね。「卒業制作は、所信表明なんだ」って。要するに、世の中に対して、お前が考えてることを全部ぶちまけろって、それで反応が無かったらやめろって。でも難しいんですよ。21歳のガキが自分の考えてることとかを全部映画に詰め込んでやるっていうのは。

柴田 とりあえずアクが強くないとね。自主映画っていうだけで、もう負い目があるからね(笑)。

石井 ある種のカルト性は武器にしていかないといけないと思いますね。

後半/インタビューへ続く・・・


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現在公開中『ばけもの模様』はコチラ↓↓

Bakemonomain
『ばけもの模様』 (93分/HD/2007) 

『ばけもの模様』 6月7日(土)~6月20日(金)
池袋シネマ・ロサにてレイトショー


出演者:
大鳥れい、桂都んぼ、潮見諭
稲川実代子、牧野エミ、じんぐうまさひろ、邦城龍明、井川あゆこ

脚本・監督・編集:石井裕也
共同脚本:登米裕一
撮影:松井宏樹 照明:小林万平 美術:沖原正純、内堀義之
助監督:中村祐介 音楽:今村悠輔


■ホームページ 
http://mukidashi.com/

■池袋シネマ・ロサ
http://www.cinemarosa.net/

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