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2008/03/11

<<書評>> 寺山修司 幻の1冊ついに現る!

寺山修司 未発表歌集 

月蝕書簡
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田中未知編
岩波書店(2008年2月刊) 
定価1800円+税



評=榎本了壱

 少年時代の俳句から始まり、短歌、詩、ラジオドラマ、演劇、映画と、様々な表現領域を越境しながら、ノマドのように47年を疾走した寺山修司。今年は彼が亡くなって25年目となる。各地で展覧会や、演劇、映画祭など数々のイベントが準備されている。私も、俳句の町松山で.世界上演5番目となる、市街劇『人力飛行機ソロモン』のプロデュースを担当する。そんな没25年の最初の大きな仕掛けが、私たちの目の前に驚愕とともに忽然と現れた。寺山修司未発表歌集『月蝕書簡』である。(…)

 1954年、大学1年の時に『チエホフ祭』で短歌研究新人賞を獲った寺山は、65年に刊行する3冊目の歌集『田園に死す』以降、ぷっつりと短歌を書くのをやめてしまう。そして67年には演劇実験室天井桟敷を設立、アングラ文化の旗手となり、世界の前衛演劇のスターへと転身していく。その最中71年に『寺山修司全歌集』(風土社)を編み、「生きているうちに、一つ位は自分の墓を立ててみたかった」といって短歌から決別する。私はこの寺山修司の墓碑銘的な一冊を、20代前半で装幀させてもらっている。寺山の長年の秘書であり、『寺山修司と生きて』の著者であるこの『月蝕書簡』の編者田中未知は、すでに寺山は73年頃から再び、短歌集を出す準備をしていたと記述する。最後の歌集から8年ほども歳月がたっていた。しかし創り進めるにつれて、「自分の過去を自分が模倣して、技術に逃げ込む」という思いから、生前それを出版することを拒否していたものだ。しかし今読めば、成熟した構想のはっきりとした佳作が群居している。懐かしくも新たに体験する異界寺山ワールドはともかく楽しい。最後に一首。

 猟銃は書物の中の傲岸の少女の胸は撃ちがたし 寺山修司

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