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2008/02/26

<<コラム>> アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生

セレブリティたちは、彼女の前で何故、裸になるのか。

『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』

監督:バーバラ・リーボヴィッツ

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Photographs (C) 2007 by Annie Leibovitz

評=野川雅子

はじめまして。今回から、映画に関するコラムを書かせていただくことになりました。私のコラムから、新しく興味を持っていただける作品が増えることを願っています。

さて、第一回目は、世界的に有名な女性写真家を描いた『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』を取り上げます。どんなことも諦めないアニーの生き方に、私自身、勇気と元気をもらい、彼女の大ファンになった一作です。(…)

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Photographs (C) 2007 by Annie Leibovitz

世界中のセレブリティの写真ばかりを撮影している有名な一人の女性写真家がいる。彼女の名前は、アニー・リーボヴィッツ。名前を聞いてピンと来なくても、「ジョン・レノンが暗殺される数時間前に、オノ・ヨーコに裸でしがみつくように寄り添う写真を撮影した人」と説明すれば、きっとわかっていただけるのではないだろうか。なぜ彼女の前でスターは、今までメディアの前で見せたこともないような表情を見せ、そして、時には裸にさえなるのか。この映画は普段は撮影する側である彼女にスポットをあて、その謎を解き明かしてくれる。

まず誰もが感じること、それはアニーの写真は、見た人の心を惹きつけるということ。一枚の写真に納められた一瞬の光景が、人の心に何か特別なものを感じさせる。同じ被写体であっても、彼女の写真は、他の写真家のものと、どこかが違う。一枚、一枚が全く別の顔を持っていて、見る人を、不思議な魅力で虜にしてしまうのだ。
それは写真を見る人だけではなく、撮られている側も同じ気持ちであることが、映画の中に出てくる多くのセレブリティのインタビューで明らかにされている。本人にさえ見えていなかった自分自身が持つ隠れた一面を、彼女はレンズ越しに映し出すことができるのだ。

それはナゼか。答えは、彼女自身にある。撮影現場での姿勢は一貫していて、被写体と一体になることも大切にしている。構えた姿など撮る気はない。空気のような存在になるまで、相手の懐に入っていくのだ。だからこそ、人の素顔、本質を写真に納めることが可能なのである。一つ一つの仕事に真剣に取り組み、チャンスを逃さず、新しい環境に飛び込むことを怯まない。そんな姿を見て、周りが彼女を認め、応援したくなるからこそ、着実に写真家としてステップアップしているのであろう。実績にアグラをかくことなく、妥協することを許さない。そんなアニーだからこそ、撮られている側も、誰もが彼女自身に魅せられ、身を任せよう、魂ごと預けようという気持ちになれるのではないかと感じた。

彼女の生き方を表す最も印象的なエピソードに、最愛の人を失った時にとった行動がある。愛する人を失った時も、しっかりと現実に向き合い、その記録を写真に納めたそうだ。そのエピソードが物語ること、それは、写真を撮ることで、目の前の悲劇を受け入れていたのではないかということだ。どんな時も、カメラが彼女の側を離れることはない。
アニーの人生は写真を撮ること。生きるように写真をとる。息をするように、人と会話を楽しむように、物を食べるように、そして誰かを愛するように……。彼女は息を引き取るその瞬間まで、写真を撮り続けるに違いない。
写真に魅せられたアニーの人生を、是非劇場で堪能して欲しい。きっと、自分自身の生き方を、改めて考えるキッカケになるはずだ。

Poster

アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生

2008年2月16日(土)より シネマGAGA!、シネカノン有楽町2丁目他 全国順次ロードショー
配給:ギャガ・コミュニケーションズ powered by ヒューマックスシネマ

http://annie.gyao.jp/

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