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2007/06/05

いまなお続く内戦の現実を切りとる

フォトジャーナリスト
高木佑輔

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2006年 コンゴ民主共和国 

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コンゴ民主共和国:忘却の彼方        

 コンゴ民主共和国では、第二次世界大戦以降最も犠牲者が多い内戦が今なお続いている。
1997年に始まった内戦の犠牲者の数は400万人とも言われている。
しかしながら、その実態は闇に包まれている。
 この忘却の彼方では非人道的な光景が広がっていた。
そのような報道されない現実に光を当て、彼ら、彼女らの過去・現在・未来を、
見た人が想像してくれれば、と思う。
                                                         
                                    高木佑輔

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☆全国公募写真展 2007年 視点 第32回展
 (東京都美術館2階第3展示室にて開催中)に
 高木佑輔の『コンゴ内戦』(2006年/モノクロ/1枚)が入選!
 6月10日(日)まで展示されています。

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評=岡田亜矢子

若干27歳ながら、アフガニスタン、コンゴ、エチオピアなどの
争いと混乱の中に身を投じ、その一瞬を切りとろうと奮闘する
若きフォトジャーナリスト・高木佑輔。

彼の撮る写真の人々の眼は、ぐっと睨みつけるように一点を見つめていたり
疲労を感じさせるような、静かな諦観を漂わせるような表情をしていたりする。

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生徒を見つめる国内避難民の少年
          

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足が不自由な国内避難民


共に 2006年 コンゴ民主共和国 にて撮影

時に彼らに感情移入して、激しい感情そのままに撮ることも出来るかもしれない。
だが、彼は一歩引いて彼らを、彼らの生活を、見ている。
その場で、リアルな現実の中を生きている人々と交流はできる。
だが、その中で自分が彼らを「救う」ことは出来ない。
個人のレベルでは具体的なことは何も出来やしない。

ただ、こんな現実がずっと未だに続いているのだということ。
富む国は富み続け、苦しむ国は苦しみ続けている。
淡々と、時に憤りも感じながら、端的に的確に現実を切りとり、提示する。

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(左)投降ゲリラと犬    (右)虐殺の目撃者

共に2006年 コンゴ民主共和国にて撮影

海外だけではなく、昨年からは新潟県旧山古志村へと出かけるようになったという。
きっかけは、2004年10月23日に発生した新潟県中越地震。
至るところが災害復旧中の中、土砂ダムが決壊し、村全体が孤立した山古志村の報道を
覚えている人はどのぐらいいるだろうか。

「新潟に闘牛祭りの取材に行く」と聞いたのは去年のことだった。
新潟で闘牛?! と無知な私はポカンとしたものだったが、
正式には「二十村郷(にじゅうむらごう)の牛の角突き」といい、
五穀豊穣を願う地域の神事として500年〜1000年以上前に始まったといわれる伝統行事。
本州で唯一の牛の頭突きで、全国6カ所のうち、一番最初に国の重要無形民族文化財に
指定された記念すべき第1号なのである。
牛と牛が角を突き合わせて闘う格闘技だが、牛を大切な家族の一員と考えるこの地域では
大けがをさせる前に、睨みあって小突きあうところで試合は終了。勝敗はつけないとか。

ほのぼのとした行事だな、と思っていると、そんな気楽なものではないのである。
震災直撃の後、4つの闘牛場は全壊。闘牛の約半数が死亡やけがをするなど、
「二十村郷の牛の頭突き」は、長く続く震災の復興の中、存続が危ぶまれていたという。
しかし、ここで伝統を途絶えさせたくないと、地域の住民たちが立ち上がって開催に向けて
奔走。そして助け出された30頭の牛が参戦したのである。
ただの闘牛を観に行くのとは全く違う、住民たちの願いがこもった行事だったのだ。

高木が見せてくれた牛の写真を今にして思う。
闘った後、小屋に戻ってじっと牛と見つめ合う主人。
静かな牛の眼差し。震災からなんとか生き延び、そして必死に闘牛祭りを終えてくれた相棒。
その1枚の写真がなぜそんなに印象に残ったのか。

淡々と提示された写真はいろんな事を思うきっかけになる。
勢いとインパクトで訴えかける写真とは違う。
静かな力で圧倒してくれる写真たちである。

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2006年 新潟県旧山古志村にて撮影
 

■高木佑輔
Profile

1979年、東京都に生まれる。
明治学院大学社会学部を卒業後、フォトジャーナリストとしての活動を始める。
過去の取材地にアフガニスタン、コンゴ民主共和国、ルワンダ、エチオピア、新潟県旧山古志村などがあり、主に貧困や難民をテーマに撮影している。

2007年「視点」に入選。『コンゴ内戦』(2006年/モノクロ/1枚)が現在、東京都美術館「視点」展にて展示中。

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全国公募写真展 2007年 視点 第32回展(東京都美術館2階第3展示室にて開催中)に
高木佑輔の『コンゴ内戦』(2006年/モノクロ/1枚)が入選!
6月10日(日)まで展示されています。

今年で32回目を迎えた「視点」展は、東京展をはじめとして、
全国を巡回する日本最大級の公募写真展。

本展を主催する日本リアリズム写真集団は、写真の創造活動を通じて、表現の自由を守り、
日本の平和と民主主義の発展に寄与しようとするプロとアマチュアの写真家、評論家、編集者などで構成する自主的な創造活動の団体です。
真摯で独自な視点で捉えたプロ、アマ問わず、テーマもジャンルも制限なく幅広い作品が
たくさん詰まった写真展です。

2007年 視点 第32回展
東京都美術館(上野公園内)2階第3展示室 にて
東京本展 6月10日(日)まで開催中 

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9:00〜17:00/最終日は14:30まで/
一般600円・学生400円(高校生以下入場無料)

本展は巡回します!
仙台・神奈川・静岡・浜松・名古屋・三重・京都・高知などを予定

入選作品を収録した写真集「視点」同時発行。

主催:日本リアリズム写真集団 2007年「視点」委員会

会場はコチラ!

★東京都美術館
〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36
TEL:03-3823-6921

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文・編集/岡田亜矢子

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