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2007/05/15

さりげなく、深く!

◆写真集
 
『百一人の肖像』 
 写真・文 稲越功一

写真家・稲越功一氏が、日本及び世界で活躍されている文化人101人を
二年間に渡って撮りおろし、『読売ウイークリー』にて連載してきた写真たちが
一冊にまとめられた。多彩な人物との一期一会を切り取った写真集。

そうそうたる面々がズラリと並んでいる。
気張ることなく、普段の彼らの仕事場で、その一瞬の表情をとらえた写真集。
101人の方々を撮影した時に稲越さんが感じたことがシンプルな数行の文章で
書かれています。端的で無駄がなく、その人自身を感じさせる文章。

ポートレートの各人の表情と文章と合わせてお楽しみ頂ける写真集となっています。

※今回ご掲載の101人の方々に関しては、
以下のページに詳細が載っております。(※写真展は閉幕しております。ご了承下さい。)
■稲越功一写真展 -百一人の肖像− 

101

『百一人の肖像』 写真・文 稲越功一
求龍堂/2,800円(税込)

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101人の方々のお写真について書いてみたいのはやまやまですが、
以下は、特に印象に残った作品について書いてみました。
先日、銀座・和光ホールにて開催された写真展では
本写真集にご掲載の方々を多数お見かけしたので、その時の印象も合わせて書いてみます。
著名な方々に対して、大変僭越ながら、気楽に読み流して頂ければ幸いです。
ご興味ある方は「続きを読む」をクリック!

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評=岡田亜矢子

先日、銀座・和光ホールにて開催された写真展では
本写真集にご掲載の方々を多数お見かけした。

大橋歩さんは会場内を小さくうなずきながら、闊歩されていた。
本書内でほっこりと穏やかな表情で微笑んでいるが、
実際、本当に小柄な方、独特の温かみを持った方である。

奥田瑛二さんは、肖像写真同様ダンディーな方であった。
映画、テレビの画面を通して想像していた通り。
あのいいお声で、勢いよく次作の映画の構想を身振り手振りを交えつつお話し下さった。

田中泯さんは、昨年、世田谷パブリックシアターにて、大きな劇場で踊るのはこれが最後という「透体脱落」を拝見し、その身体の柔軟でゆったりとした動き、しかし細身ながら強靱な肉体を目の当たりにしたこともあり、私の中では特別の位置を占める方であるが、裸足で座り、
髪は自然に逆立ち、うつろなような深く思索にふけっているような表情で、
強烈な存在感を醸し出している1枚である。

山本寛斎さんは非常にユーモラスな表情。
爆発しそうな笑いを含んだ表情が切り取られている。

日比野克彦さんは、ダンボールで作品を制作している途中課程のふっとした一瞬の表情を。

森村泰昌さんは、さながら魔術師のように自作の横にちょこんと立っている。
この1枚がアートだよ、と言いたくなる。

久世光彦さんはどこか公園での撮影だったのだろうか。
メガネをはずし、何かを見つめ、思索している。この人も穏やかな体温が感じられる1枚。

立川談志さんは、「落語界の異端児」と言われるが、この人の表情には
愛嬌と同時にシビアさも感じさせられ、無条件に屈服させられてしまう気がする。
決して威圧的なのではない。
この人のペースに取り込まれてしまう、そんな目であり、表情なのである。

素の表情になった一瞬が切り取られているように見える(実際は“素”ではないだろうが)
肖像写真集である。決して意図的でないのだが、島田雅彦さんは、市ヶ谷にある法政大学の
研究室の窓辺で撮影されているはずなのに、背景がロシアの街並みに見えてしまうのはなぜだろうか。さながらロシアの鉄塔の上で撮影したかのような錯覚を覚える。

美人も多数いらっしゃる。

山本容子さんは、先日高輪のアトリエで2度ほどお見かけしたが、
その時にお会いした雰囲気そのまま。ものすごく女性らしい身体の曲線を持ちながら、
すっとほっそりと清潔感が漂っている。そして、動きそのものに女性らしい優雅さが感じられる。
その時にお召しになっていたのも、この写真集におさめられているようなきちんとプレスされたシャツにウェストインしたパンツ姿だった。颯爽としている人である。

そして、写真展でも目が釘付けになってしまったのが、
日動画廊副社長の長谷川智恵子さんである。
気品ある笑みをたたえて、作品の前に佇んでいるシンプルな構図なのだが、
静的で控えめな雰囲気ながら、身体全体から発光しているような不思議な気品に
ただただ圧倒された。恥ずかしながら、詳しく存じ上げていなかった方であるが、
世界中を飛び回り、数々の展覧会を企画し、さらにはアンディ・ウォーホルをはじめと
して、国内外の巨匠の作品モデルも務めた方である。
女の私が写真にこれだけ引き込まれるのだから、実際お会いしたらどうなってしまうだろう、と想像すると怖くなってきてしまった。

全体として、本当に豪華で手元に置いておきたい一冊であると思う。
2,000円台でこんな写真集が手に入るなんて! と小躍りしている今日このごろ。
お薦めです。

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