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2007/05/31

月島をながめる

四方田犬彦
『月島物語ふたたび』

Tsukishima_1

1988年、ニューヨーク帰りの批評家が、
東京湾に浮かぶ月島で、長屋暮らしを始めた。
植木が繁茂する路地、もんじゃ焼の匂い漂う商店街、
鍵もチャイムもいらない四軒長屋……。
昔ながらの下町の面影を残すこの街だが、
実は日本の近代化とともに作られた人工都市だった。
モダニズムがノスタルジアに包まれた街——
批評家はそのベールを一枚ずつはがし、月島の全体像を浮かび上がらせていく。
日本近代化論、文学論、都市論を縦横に駆け巡る傑作エッセイの待望の復刊。


本書は、同著者による『月島物語』の増補改訂版。
第一回斎藤緑雨賞を受賞した単行本版の内容に加え、
文庫版に収録された文化人類学者・川田順造氏との対談とエッセイ、
さらに2006年に新規収録した建築史家・陣内秀信氏との対談、
書き下ろしロング・エッセイ、ならびに「佃島のファン・デル・エルスケン」と呼ばれる伝説の写真家の50−60年代作品の聞き書き紹介、各時代の月島風景などを収録した決定版です!

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四方田氏は1988−94年まで月島の長屋で生活し、以後、月島を離れています。
今回、再び月島を訪れて各方面の取材を重ね、「陸地で生じることのいっさいを、
水という隔たりを通して、島の側から眺め思考すること」の必要性を説いていきます。

本書はそうした趣旨に沿って、常に「水」を意識させるような造本設計を行なっています。
本文には隅田川を思わせる濃紺の刷り色を採用し、小口にはペ−ジを開いているときは川波を想起させるべく縞模様が現われるようにしました
(本表紙もこれらの設計とイメ−ジを合わせています)。
ぜひこの造本の妙味を味わってみて下さい。

■目次より

1988—1992
第一回 ライディング・オン
第二回 埋立地は語る
第三回 孤児流謫1
第四回 孤児流謫2
第五回 月島通一九九〇年三月
第六回 大川の尽きるところ
第七回 衣裳の部屋
第八回 猫と鼠
第九回 佃の大祭
第十回 勝鬨大橋と月島独立計画
第一一回 風の中の牝〓(めんどり)
第一二回 わが隣人、中野翠
第一三回 天使と大将
第一四回 もんじゃ焼と肉フライ
第一五回 水の領分
第一六回 エリアンの島
第一七回 高楼の変遷
第一八回 路地に佇む

後書

1999
対談 月島、そして深川。 川田順造・四方田犬彦
月島への旅の追憶
2006
月島二〇〇六
対談 「月島的なるもの」をめぐって  陣内秀信・四方田犬彦
江戸・東京論ブームと『月島物語』/月島と佃島の違い/月島と共同体/
水辺空間の展開/路地空間・迷路空間・アジール空間/月島の空間を生きる/
ノスタルジーを超えて/アジアの都市開発から学ぶこと/
都市計画が予期しなかったもの

■四方田犬彦(よもた・いぬひこ)
Profile

1953年、兵庫県生まれ。比較文学者、映画史家。東京大学で宗教学を、同大学院で
比較文学・比較文化を学び、その後、コングック大学、コロンビア大学、ボローニャ大学
などで客員教授を務める。

現在は明治学院大学文学部芸術学科教授。
関心の領域は幅広く、映画はもとより文学、都市、漫画、美術、音楽、料理、民族差別
など多岐にわたる。

著書は『貴種と転生・中上健次』『モロッコ流謫』『ハイスクール1968』『ラブレーの子供たち』(以上新潮社)、『映画史への招待』『アジアのなかの日本映画』『ソウルの風景—記憶と変貌』(以上岩波書店)、『漫画原論』『摩滅の腑』『「かわいい」論』(以上筑摩書房)、
『白土三平論』『見ることの塩—パレスチナ・ボスニア紀行』『パレスチナ・ナウ』(以上作品社)など多数。他にピエル・パオロ・パゾリーニ、エドワード・サイード、ポール・ボウルズ、マフムード・ダルウィーシュなどの翻訳がある。1988年から1994年まで月島の長屋で暮らした。

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『月島物語ふたたび』
四方田犬彦・著


Tsukishima_2

税込 2625円(本体2500円)
A5変型/404頁/2007年1月
工作舎


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カバーをとった表紙     扉/本文の刷り色は隅田川を思わせる濃紺の刷り色

■関連図書

・『東京の空の下、今日も町歩き』川本三郎(ちくま文庫)
・『乱歩と東京』松山巌(二葉社文庫)
・『吉本隆明の東京』石関善治郎(作品社)
・『東京の空間人類学』陣内秀信(ちくま文庫)
・『江戸東京の路地』岡本哲志(学芸出版社)

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