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2007/02/14

舞台3公演の最新批評!!

評=石井達朗

2007年1月の3つの小公演について

このコラムを、しばらくご無沙汰してしまった。新聞や雑誌に評を書いているので、なるべくこのコラムに重複するのを避けたかったからだ。2007年に入り、ナジの『ASOBU*遊』やカーンとシェルカウイによる『ゼロ度』についてはすでに朝日新聞に書いたので、以下はそれ以外の小公演についてである。

◆山田うん『ひび』(1月7日、吉祥寺シアター)

ベルギー在住の篠崎由紀子とのデュオ。徹底してミニマルな動きで、ふたりの微かな身体の振幅の連係をどう見せるかという作品である。全体は彼女らが設定したコンセプトにこだわりすぎて平板になってしまった。動きが予定調和になってしまっているのだ。ミニマルな中にどのような濃淡を付けて行くのかが問われる。Christoph De Boeckのノイズ音のセンスが非常に良かったのが印象に残る。

◆横浜ダンスコレクションで予想外の力を示したのが、受賞者公演の川口ゆい『Rem-The Black Cat』(1月20日、ランドマークホール)。

去年のモダンバレエっぽい作品とはまったく異質である。「主婦」らしい女(川口)が閉鎖空間のなかで、次第に精神的に破綻をきたしてゆくところを、身体と映像でソリッドに構成している。宙にぶら下がっている出だしから最後まで、たるみのないスピード感でぐいぐいと引っ張ってゆく。川口の技術がバレエやモダンになるぎりぎりのところで、テーマ性に肉薄する。音や映像も説明的にならずに、パフォーマンスの強度を増していた。また、再演して欲しい作品である。

劇団解体社『Reflection連鎖系/シャーマン[Shaman]』(1月25日、CANVAS)。

ブラジルの女が、刑務所で服役囚たちに演劇を指導していると語り、看守による暴力や、刑務所の想像を絶する悲惨な状況を淡々と述べてゆく。力のあるモノローグだ。私は十数年前に全米ドラマセラピストの会議で、やはり刑務所を回りながら服役囚と演劇作りをやっているという演出家の話を聞いたことがある。身近にいたら絶対に許せないであろう殺人犯やレイピストたちと何週間もかけて芝居作りをするということは、通常の芝居の稽古とは全く違うプロセスであり、いかに途方もない労苦を要することかという事をいまだに強く記憶している。ブラジル人の彼女の虚飾のないモノローグを聞いていて、そのことを思い出さずにはいられなかった。この後、テンションの高い動きがモノローグに連動する形で展開する。ただし、最初のモノローグの強度に身体が迫っていない部分があり、また最後に灯したキャンドルを床に置いてゆく演出には、多少の感傷と常套を感じてしまう。とはいえ、解体社ほど身体とポリティクスの問題を正面から受け止めて観客に突きつける力を持った集団は、日本では例を見ない。この作品は三部作の第一部である。残る二部『「剥製」態』(2月15、16、17日)、『「要塞」にて』(3月8、9、10日)にも注目したい。

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