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2006/11/23

毛皮族『元始、女は太陽だったような・・・』観てきました!

評=岡田亜矢子

非常に軽妙。
濃厚なイメージの毛皮族の印象を覆す、
むしろ清々しささえ漂う舞台。

---毛皮族のアングラ経験劇場 コーヒー&シガレッツ的な軽演劇 内
  Aプログラム→『元始、女は太陽だったような・・』に行ってまいりました。

見ごたえのある舞台だった。

公演タイトル、役名ともにおふざけの香りがぷんぷんしていて、
更に、”渾身の本格ヒステリー”(本来はミステリーであろう。。。)という舞台紹介文。
どんなドタバタの捜査が行われるのかと、
事前になんとなしにしていた予想は完全にひっくり返されたのでした。。。

昭和36年の時代設定。
平塚らいてう、ならぬ平塚蛾蝶(がちょう)を筆頭として、『赤唐辛子の会』を結成していた
4人の女性が1度に殺害されるという殺人事件が発生。これまた松本清張ならぬ、
松江本清純子が事件解明に向けて、何人か浮上してきた容疑者たちを尋問していきながら、狭い田舎町での人間関係をあぶり出していく・・・というもの。

「原始、女は太陽だった」 
有名ならいてうの言葉を新たなる江本版解釈で、殺人事件は解明される。
自分が太陽でありつづける為に、他人に認められたい! 受け入れられたい!
後世に自分の業績を残したい! を目標に、地元名産の葡萄栽培に励む
『赤唐辛子の会』を結成した蛾蝶ら。
しかし、ラスト近く、敢えて死を選んだ会の主ともいうべきおばあのお葬式の後、
急にそれまでの自分たちの活動、思考すべてがいやしいものに思えてくるのだ。
180° 思考の変換。
いやしさを捨て、本当の太陽になるために・・・蛾蝶は結論を下す。
ラストの渾身の長台詞=太陽になるための宣言と、暗転に次ぐ暗転。
それまでの熱い葡萄への思いが、一気に正反対に向けて加速していく。
この急展開ぶりが見事。
このラストまでの蛾蝶を演じる高野ゆらこの表情が秀逸だった。
舞台上では、激しいまでの大声で迫力の台詞をとばしていた高野だが、舞台が終わって、(しかもこのAプログラムは本日が楽日だった)
「ご挨拶!」と江本に促されても、「ありがとうございました」と小さな声で頭を下げるのみ。その演技中とのギャップもまた素敵である。

舞台上では、台詞をかんだ時にごまかしは隠せない。
時に、松江本清純子を演じる江本純子がこれでもか、というほど、他の役者が台詞を放っている時に絡んでくる。突っ込みを入れてくる。
しばしば笑いをこらえられず、おろおろと台詞をかんでしまう。かなりの割合でとばっちりを受けていたのが、金子清文。ときに、今の台詞は違うでしょう、と突っ込まれ、言い直しをさせられる。こういう時、客席には微笑ましい空気が立ち込める。
彼は2役を演じていたが、どちらも陰でこそこそ動いて、誰にも知られていまい、とほくそえんでいる男。(1人は妻の蛾蝶に内緒で不倫に励む夫役。しかし蛾蝶含め、地域一帯でこの不倫を知らぬ者はいないというまぬけさ。もう1人は公金を使い込みがばれて尋問される野呂役。)抜けているような、浅ましいような、でも色気もあるような、憎めない役である。成瀬巳喜男監督『浮雲』の森雅之の、優柔不断だが、一本筋を通したいと真面目に思うがゆえに女を傷つけていく、悪気はないんだよ! という。このテイストである。

また、和倉義樹の、フルーツが大好物で蛾蝶がつくる葡萄の魔力に惹かれて、妻と蛾蝶葡萄との間でフラフラ揺れる隣の町、というか集落の男をコミカルに独特の味で演じ、彼の出ているシーンは本当に笑い止まらず。

殺人事件なのに、清々しさが感じられ、久しぶりに帰り道が楽しかった。
今回の『コーヒー&シガレッツ的な軽演劇』は、プログラムA・Bの公演は終了。
残すところは、プログラムC・D・Eのみ。
残り、当日券でチャレンジしてみようかと思う。

私が鑑賞したのは以下のプログラム 会場は熱気で暑いくらい。
床に地べたに座って間近で見れます。

●演目A『元始、女は太陽だったような・・』

昭和36年千葉県印旛郡白井町、「金が作」呼ばれるぶどう農家の集落で大量殺人事件が発生した。殺されたのはぶどう農家の婦人達で結成された『赤唐辛子の会』の女性達。『赤唐辛子の会』は、大正デモクラシーの中で生まれた『青鞜』の女性達に憧れて結成された婦人活動会でもある。『赤唐辛子の会』リーダー、平塚蛾蝶(がちょう)は「その内、冥王星は太陽系から格下げされる!」と述べ、集落の女性達の間にセンセーショナルを巻き起こしていた‥。彼女達の荒んだ人間模様と愛憎関係を軸に織り成される疑惑まじりのサスペンス青春ドラマ。昭和初期に起こった実在の大量殺人事件をヒントに気鋭のヒステリー作家・松江本清純子(まつえもと せいじゅんこ)が繊細で重厚な筆圧で書き下ろし、原稿用紙に迷惑をかけた渾身の本格ヒステリー!!(上演時間 90分)


【キャスト】
平塚蛾蝶:高野ゆらこ  与謝野海明子:平野由紀
石井初子:高田郁恵   阿部房江:羽鳥名美子
浜田みすず:武田裕子  田中きぬ:柿丸美智恵  
阿部雄二:和倉義樹   平塚信太郎/野呂文男:金子清文 
松江本清純子:江本純子 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

ラスト4日!! 
リトルモア地下(原宿)にて
23日(祝)→ 15:00〜プログラムC
24日(金)→ 20:00〜プログラムD
25日(土)→ 15:00〜プログラムC/20:00〜プログラムE

26日(日)→ 15:00〜プログラムD

プログラムC:『ゴドーを待ちながら的な私』
プログラムD:『UDON的なOSOBA』
プログラムE:『純子の黒い部屋』

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

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