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2006/05/22

『粟津潔デザイン図絵』が復刊されました!

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長らく絶版だった、名著復刊です!!
タイトルは「粟津潔 デザイン図絵」。青幻社から、発売中です!

この本のあとがきを、本サイト主幹の榎本が担当しております。以下にそのあとがきを引用しておきますので、興味もたれましたら、ぜひとも本書をお求めください!!

「粟津潔 デザイン図絵」あとがきより

復刻版のためのあとがき



榎本了壱



『粟津潔デザイン図絵』初版の編集後記を書かせていただいたとき、私は二十三歳だった。奥付を見ると編集・構成のところに五人の名前があるが、私と三島典治(典東)のほかは、粟津デザイン研究室のスタッフで、私の同級生や先輩である。発刊後、横尾忠則さんがこの『デザイン図絵』について新聞か雑誌かで、批判文を書かれた。確か編集を若いスタッフに任せたことと、カラー印刷をしていないという指摘が、批判の中心だったように記憶する。私は粟津先生に申し訳なく、自分の未熟さを情けなくも思った。その五ヵ月後、『横尾忠則全集 全一巻』が講談社から出版された。A5版のサイズも、束の厚さもほとんど同じで、『デザイン図絵』が一六〇〇円だったのに対し、『横尾忠則全集』は二九〇〇円。カラー頁がふんだんにあって、横尾ワールドを遺憾なく圧倒的に伝えている。が、この二冊は私には、双生児のように思えた。

横尾忠則と粟津潔は六〇年代後半、グラフィックデザインの世界を大きくはみ出て、圧倒的な仕事をしている。確かに当時のデザイン界は、綺羅星のごときデザイナーたちが群雄割拠して、すさまじい仕事を展開していた。けれどもその話題性、挑発性、実験性、どれをとっても粟津潔、横尾忠則が双璧だったというよりほかにない。横尾さんは、粟津潔を何よりも身近に、そして気になる存在として意識していたのではないだろうか。そんな粟津潔の『デザイン図絵』と、自分の『横尾忠則全集』が、六〇年代を総括するそんな思いがあったのかもしれない。だからああいう批判文にもなったと、今にして思う。

しかし今改めて二冊を見比べると、『横尾忠則全集』は、描くことを基調にしたグラフィックワークと、セルフプレゼンテーションに徹しており、一九八二年に画家宣言する予兆に満ちているのに対して、『デザイン図絵』は、デザインの源泉、発生、展開と、混沌としながらも、デザイン論にアプローチしているのが分かる。この当時すでに粟津先生は、『デザインの発見』『デザインになにができるか』の、二つのデザイン論を上梓しているが、その後も『造形思考ノート』以降、多くのデザイン論の本を書かれている。こうした志向と態度が、のちの古代中国の甲骨文字や、アメリカ先住民のペトログリフ、ピクトグラフの、ロックアートの研究、印刷博物館館長の重職などへの取り組みにつながっているのは、言うまでもない。

昨年出版された『粟津潔デザインする言葉』に、一九八四年のこんなカリグラフィがある。「どこまできたかわからなくなった。そこにとつぜん桃の花の咲いている林に出逢った。(中略)林が尽きると渓流の水源があって、そこに一つの山にぶつかる。山に小さな穴があって、その奥から光がさしているように見えた。」陶淵明の『桃源郷』からの写しだろう。今まで散々色々なことをしてきて、自分が判らなくなるほどにしてきて、その先に見えた光こそは理想郷である。今、粟津潔は、充実し陶然とした時間の中を生きている。

デザイナーの方のみならず、アートに興味のある方なら、必読の書です!

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