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2006/04/17

JADEでひときわ光った川口隆夫のパフォーマンス

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石井達朗 評

2006年3月11日から26日まで開催された今年のJADE。カンパニー マリー・シュイナールの『春の祭典』と『牧神の午後への前奏曲』はダンサーの衣装やツノのついた頭巾そのものが美術品といってもいい面白さだし、シュイナールならではの振付けも奇妙で最初から最後まで目が離せない。

昨年来日したときの『ショパンによる二十四の前奏曲』の、ピアノの名曲に対して振付けた徹頭徹尾「昆虫」か「爬虫類」ふうのセクシュアリティの諧謔に満ちた提示に比べると物足りないが、シュイナールのスタイルの原点が見えた。
珍しいキノコ舞踊団の『また、家まで歩いてゆく』は去年、彩の国さいたま芸術劇場の小ホールでやったものより、照明、大道具・小道具の使い方、全体の構成などが、格段によくなっていてガーリィな寓話的世界が色鮮やかにきらめいていた。これからは、ジェスチャー、マイム、オフバランスなどをうまく取り入れて、シュイナールのように動きそのものが紡ぐ世界ももっと開拓してほしい。 
山崎広太とジャンメイ・アコギー共同振付けによる『FAGAALA』は、セネガルからやってきたダンサーたちの身体能力には感心したが、情景や感情がまず背景にあって踊りを構成している部分が多く見られ、熱演しているわりにはダンス作品としての強度を獲得するには至らない。 振付けを山崎かアコギーどちらかひとりにして、山崎自身が一緒に踊っていれば、かなり違った印象になっただろう。2月初めに横浜赤レンガ倉庫でやった黒田育世のBATIK とオーストラリアのSPRINTER GROUPの合作でもそうだったが、船頭が二人いると、どうしても方向が見えにくくなる。
今回のJADEで圧倒的な力を示したのは、川口隆夫と山川冬樹によるパフォーマンス『D.D.D.』である。これは去年、麻布のスーパーデラックスで見ているが、今回のほうがパフォーマンスの密度も強度も倍増した感じだ。山川は自分の心臓音を増幅して鳴らし、その鼓動にシンクロして電球の束を点滅させたり、自分の食道から胃、腸に至る内臓を内視鏡カメラで大写しにして投影したり、時には倍音で歌う。白い目だし帽で頭をすっぽりと覆った異様な風体の川口は125×85センチのテーブルの上で、のたうちまわる。終盤、裸身を油まみれにしながら、自分の体をモノのようにテーブルに叩きつけるシーンは圧巻である。川口と山川はそれぞれ外側と内側から身体にこだわり、身体を攻め続ける。これは、ちゃちな仕掛けや姑息なアイディアに寄りかかることなく、真正面から身体に向きあった二人のリングである。これからも川口隆夫には注目し続ける。

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